探偵の調査費用や料金はいくら?調査ごとの料金相場について
はじめに
探偵事務所では、あらゆる調査を引き受けています。代表的なのは浮気調査や身元調査、所在調査ですが、他にも企業調査や婚前調査など多岐にわたります。場合によっては、ストーキングの方法やルートを確かめるという依頼を請け負うこともあります。
調査料金は数万円から百数十万円まで、かなりの幅があります。それぞれの調査によって、費用や料金はどのように異なってくるのでしょうか。
ここでは、調査ごとの料金相場について解説します。
探偵の調査メニューあれこれ
探偵事務所では、主要な調査についてメニューを設け、内容や料金の概要を定めています。料金相場について見る前提として、探偵が取り扱う調査のラインナップを確認しておきましょう。
(1)主な調査メニュー
探偵が取り扱う調査としては、以下のようなメニューがあります。
- 浮気調査(不倫調査)
- 身元調査
- 素行調査
- 婚前調査
- 企業調査
- 家出人調査
- 相続人調査
- ストーカー対策調査
- 詐欺調査
- 嫌がらせ調査
これらは「経歴の調査」(浮気調査、身元調査など)と「所在の調査」(家出人調査、相続人調査など)、「犯罪の調査」(ストーカー対策調査、詐欺調査など)に大別できます。
(2)それぞれの調査内容
①経歴の調査
浮気調査とは、浮気の有無を確認し、不貞行為(肉体関係)の証拠を入手するために行われる調査です。通常、複数人の調査員により尾行や張り込みを行うため、調査期間によっては料金も高くなりがちです。
身元調査とは、個人の経歴や素性を確かめるために行う調査です。素行調査や婚前調査、企業調査などを含む広い枠組みです。料金は調査難易度によって様々です。
素行調査とは、調査対象者の普段の素行を確かめるために行う調査です。婚前調査や企業調査などと共通する部分があります。
婚前調査とは、結婚を考える相手の経歴や実家の状態、資産状況などを調べるものです。ただ、かつてほど家柄や格式が重視されなくなりつつある現在、こうした婚前調査は少なくなってきています。現在では、いわゆる婚活などに伴う身元・素行調査が多いものといえます。
企業調査とは、新入社員・中途入社社員の経歴や外回り営業職の勤務状況、財務経理の不正、各種手当の受給資格、現社員や退職者による守秘義務の遵守状況などをチェックする調査です。社内だけではなく、取引先などへの身元調査も含まれます。
②所在の調査
所在調査は、いわゆる人探しです。身元調査と違い、調査の成否が比較的明確という特徴があります。家出人調査や相続人調査が該当します。
家出人調査とは、家出や失踪をした人物の調査です。事件や事故に巻き込まれている場合もありますが、自らの意思で出奔するケースもあるため、ターゲットに気付かれないように所在を探さなければならないことがあります。そうした場合、料金もやや高めになります。
相続人調査とは、遺産の相続人の調査です。兄弟姉妹の人数が多かったり、離婚や再婚をしていたりするケースでは、相続人も多くなることがあります。遺産分割協議は相続人が揃っていなければならないため、依頼件数も少なくありません。
③犯罪の調査
探偵による犯罪の調査は、警察や検察による捜査とは異なります。また、逮捕や処罰の権限を有するものでもありません(一般人にも可能な現行犯逮捕の場合を除く)。あくまでも警察への通報の下準備、もしくは民事訴訟の前提としての調査です。
ストーカー対策調査とは、ストーカーの割り出しや加害の証拠を入手するための調査です。明確な被害や、その人物が加害者だという証拠がなければ警察はなかなか動いてくれないため、通報や告訴の前に調べる必要があります。
詐欺調査とは、オレオレ詐欺や結婚詐欺、美人局、その他宗教絡みの詐欺などについて、加害者の特定や詐欺の証拠を入手するための調査です。詐欺に対しては刑事罰が科されるほかに民事での損害賠償請求もできるので、加害者を特定することが重要となります。
嫌がらせ調査とは、近隣住民などからの嫌がらせや迷惑行為について、加害者の特定や加害の証拠を入手するための調査です。これもまた警察にスムーズに動いてもらうための下準備という側面があります。
それぞれの調査における料金相場
各種調査を探偵に依頼する場合、調査の難しさや費用、動員人数や掛かる期間などによって料金も異なります。一般に、調査難易度が高く、多数の動員を要し、移動距離が長かったり深夜早朝の稼働が必要だったりする場合には、料金は高くなりがちです。
ただ、おおよその目安としての相場もあるので、料金が妥当かどうかの判断の参考としてみるといいでしょう。
(1)経歴の調査
探偵事務所に持ち込まれる依頼の中でもっとも件数が多いとされる浮気調査では、料金相場が40万円~60万円となっています。これは、調査員が2~3名で調査期間を4~7日間とした場合の相場です。浮気相手や浮気の日時などの目星が一切付いていない状況だと、もう少し料金は高くなるでしょう。
身元調査や素行調査では、浮気以外にも幅広く調べる必要が出てくるため、50万円~は見ておくといいでしょう。ただ、確かめたい内容が、たとえば交友関係のみとか近所での評判だけとかいったように限られている場合、20万円~30万円程度で足りるケースもあります。
婚前調査では、異性関係や友人、学校、勤め先での評判、実家の状況、本人の健康状態というように、調べる内容が限定されています。浮気調査よりは調査の範囲が広い反面、調査難易度はさほど高くないため、相場も10万円~35万円程度となります。
企業調査では、調査対象や内容が多岐にわたるため、一概にいくらと申し上げにくい部分があります。ただ、企業が採用予定者の経歴や素行を簡単に調べるだけであれば、あまり長い時間も掛からないので、5万円~10万円ほどで足ります。逆に、規模の大きい取引先の経営状態や多額の不正経理に関わる調査などは、数百万円に上ることも珍しくありません。
(2)所在の調査
家出人調査や相続人調査などの所在調査では、全国的な移動が必要となることもあります。また、時には国外へ調査に赴かなければならないこともあり、交通費や宿泊費などの経費が多くなりがちです。また、家出人が追手を警戒しているような場合は、慎重な調査が求められます。
そのため、身元調査などと比べて料金相場がやや高めになる傾向があります。金額としては、50万円~100万円(調査期間:約2週間)ほど見ておくといいでしょう。
(3)犯罪の調査
ストーカー対策調査や嫌がらせ調査では、加害者の行動に対するリアクションとして調査が行われるため、浮気調査などのように空振りのおそれは少なくなります。また、所在調査のように長距離の移動も考えにくいところから、料金は効果的な犯人対策として、もっぱら技術料の側面が強くなります。あまり複数の調査員を充てる必要性もないため、料金相場は1日あたり約10万円となっています。
ただ、加害者が痕跡を残さないよう慎重に行動しているようなケースでは、多少料金も高くなる場合があるでしょう。
詐欺調査も基本的には同様ですが、結婚詐欺などの場合は加害者の素行調査に近くなります。たとえば、結婚を前提としていろいろな金銭を支払わせておきながら、複数の異性と交際していたり既婚者だったりという場合、詐欺と判断されやすくなるでしょう。こうした状況証拠を手に入れるのも探偵の仕事です。ただし、騙し取られた金品を探偵が直接取り返すことは、違法となってしまうために請け負えません。料金相場としては20万円~30万円程度を見ておくといいでしょう。
調査料金と料金プランの関係
各種調査の料金相場をご説明しましたが、調査料金を左右する要素は調査の内容に限られません。調査ごとの料金プランによっても最終的な請求金額は変わってくる可能性があります。
(1)料金プランと調査料金
探偵事務所の料金は、もっぱら調査員の人数と調査時間によって決まります。
だいたいこのような計算式が成り立ちます。なお、技術料や着手金、成功報酬に関しては事務所ごと、あるいは料金プランごとで異なります。
調査によって対象や目的は違い、必要となる人数も調査期間の目安も様々です。そこで、探偵事務所でも調査の性質に応じた料金プランを用意しています。
ところが、依頼する側が見込みを誤り、不適当なプランで契約をしてしまった場合、料金が高くなってしまうこともあるため、注意をしなければなりません。
(2)3種類の料金プラン
主な料金プランは3種類あります。時間料金制・パック制・(完全)成功報酬制です。
時間料金制とは、調査に要する人員数と調査時間を掛け合わせて料金を設定するプランです。またパック制とは、支払う額を事前に決めておき、それ以上は原則として料金が掛からない定額プランです。これに対し、(完全)成功報酬制とは、着手金や諸経費等に加え、調査成功時に「成功報酬」を支払うプランです。
調査には、所在調査などのように解決地点が明確なものと、浮気調査や身元調査のように問題が存在しない可能性もあるものとがあります。あるいは、人員を多く必要とする調査や、長距離の移動が求められる調査、深夜早朝の張り込みをしなければならない調査など、様々です。
短期で終わる調査なら時間料金制が適していますし、ある程度長引きそうな調査ならパック制で契約したほうが結果的には安上がりになることも多いといえます。成功と失敗の区別が明確なタイプの調査なら、(完全)成功報酬制での契約もいいでしょう。
このように、適した料金プランも調査の性質ごとに異なるのです。
(3)事務所独自のプラン
ただ、近時は探偵事務所ごとに独自の料金プランを設定するところも増えてきています。探偵に何度も依頼をする人はそう多くないので、初見の依頼者にもわかりやすく納得できるように、と考慮された結果だといいます。
MR探偵社を例に取ると、「結果保証プラン」「基本プラン」「ピンポイントプラン」の3種類が導入されています。
結果保証プランとは、浮気調査のように浮気の存在が不確実な場合に、もし浮気が存在していなければ料金が掛からないというプランです。
基本プランとは、ターゲットのスケジュールがいまいち読めない場合において、休日や勤務終了時間に合わせた臨機応変な調査を行ってくれるプランです。
ピンポイントプランとは、逆にターゲットのスケジュールがはっきりしている場合に、ピンポイントで無駄なく調査を行ってくれるプランです。
いずれも、調査の空振りによって不必要な料金が掛かってしまうのではないか、という依頼者の心配を解消するためのプランといえます。ご自身の依頼したい調査内容に合わせて、最適な料金プランを相談してみるといいでしょう。
調査料金を安く抑える方法
探偵事務所に依頼すると、数万円から数十万円以上もの決して安くない料金が掛かるのは事実です。ただ、依頼内容も料金プランもまったく同じで、調査料金だけを安く抑える方法もないわけではありません。以下、ポイントをお伝えします。
(1)情報を揃えて提供
探偵事務所に依頼すると、探偵が入念な下調べを行い、調査計画を立てます。いつ、どこで、どのような機材を用いるか、どういったルートで尾行するか、どこを張り込みするか、といったことを検討するのです。時には何度か現場へ下見に赴くこともあります。
これに対し、依頼者がターゲットの詳細なプロフィールや心当たりなどの情報をきちんと提供すれば、下調べや準備のプロセスを大幅に省略できます。加えて、調査の精度も上がるでしょう。
特に、たとえば浮気調査であれば、SNSの書き込みや出張日の予定などをあらかじめ調べて伝えるだけで、浮気相手や浮気の日時の目星を付けられることもあります。そうすればピンポイントで調査して証拠を入手でき、大幅に調査料金を安くすることが可能となります。
(2)調査内容を詳しく決める
何をどこまで調べるかによって、調査の難易度や掛かる時間も変動します。浮気調査の場合、裁判でも使えるような厳格な証拠を必要とするなら、鮮明な写真やクリアな音声、はっきりとした動画などを手に入れなければなりませんし、個人的な交渉に用いるだけなら、自分と相手だけがわかれば事足りるでしょう。
経歴調査や婚前調査でも、致命的な問題がないかどうかだけ知りたいのなら、そこまで大掛かりな調査は不要といえます。
調査のロスを防ぐには、契約を結ぶ前の打ち合わせ時点で、必要とする証拠のレベルや調査期間などを詳しく決めておくことが大事です。少しでも疑問に感じたことがあれば、遠慮なく伝えるようにしましょう。
(3)信頼の置けるところへ頼む
ホームページなどで「格安」を謳っていても、残念ながら実際に請求される料金が安いとは限りません。後からいろいろと理由をつけて追加料金を請求してくる悪徳業者もいるからです。
目先の宣伝や料金表示に惑わされることなく、ブランドや実績、法律上の手続き、契約前の説明などを総合的に捉え、信頼の置ける探偵事務所に依頼すべきでしょう。探偵に依頼するような事柄であれば、プライバシーや財産に関わることも少なくありません。探偵事務所選びはできるだけ慎重に行うことをおすすめします。
まとめ
探偵の請ける調査には様々なものがありますが、調査の内容や性質によっても料金相場は異なります。適したプランを選び、あらかじめ情報をきちんと提供することで、調査料金も安くなる可能性があります。
また、探偵事務所によっては無料相談などを開催しているところもあります。そうしたサービスを活用するのも、事務所選びを失敗しないためには大事といえるでしょう。